帯状疱疹
季節の変わり目などには、自律神経が一生懸命調節しようとしますが、ストレスや過労などが重なり体調を崩し、免疫力が低下しやすくなります。
そんなときに注意したい病気の1つに、帯状疱疹(たいじょうほうしん)があります。
ご家族や知人が帯状疱疹になり、耳にしたことがある方も多いと思いますが、鍼灸が有効であることを知っている方はほとんどいません。
私自身も20代で勤めている時に発症し、鍼灸で治療し仕事も休まず治した経験があります。
帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、水ぼうそうを起こすウイルスと同じ水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが原因で起こります。
痛みをともなう皮膚湿疹です。
はじめて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときは、水ぼうそうとして発症します。
多くの人が子どもの頃に水ぼうそうにかかり、発症して1週間程度で治ります。
ウイルスは、水ぼうそうが治った後も体の神経節(神経の細胞が集まった部分)に潜んでいます。
健康で免疫力が強い間は活動が抑えられていますが、加齢やストレス、過労、病気などによってウイルスに対する免疫力が低下したときに再び活動を始め、神経に沿って皮膚に帯状の水疱として発症します。
この帯状に広がる症状から帯状疱疹といわれます。
症状
赤い斑点があらわれる数日前からからだの一部の違和感やチクチク、かゆみ、だるさ、 あるいはピリピリした痛みを感じる神経痛などがでてくることがあります。
次に、痛みを感じた場所にブツブツとした赤い発疹(紅斑)ができます。
この症状は 帯状 に広がることが多く、特に胸から背中、腹部などによくみられ、顔や手足にも現れます。同時に軽度の 発熱 と リンパ節の腫れ などがみられることもあります。
続いて紅斑上に 水疱 ができて破れ、皮膚がただれ、かさぶたができます。
痛みは症状が出ている間、続きます。
軽い痛みで済む方もいますが、神経でウイルスが増殖して炎症が起こるため、強い痛みを感じることが多く、夜も眠れないほど悩まされることもあります。
服があたっても痛みを感じるほど強いです。症状のきつい方は本当に激痛で身動きが取れなくなることもあります。
痛みは、神経の痛みと皮膚の痛みとが混ざってでています。
早期発見
一般的に、帯状疱疹は判断しにくい病気です。
病院に行っても紅斑が出ていなければ診断がつかないこともしばしばです。
初期段階では、虫刺されやかぶれ、他の皮膚疾患などと思い違いをする方が少なくありません。
そのため、市販の軟膏等を塗っていて対処が遅れ、重症化させてしまうケースも多くみられます。
帯状疱疹の対応では、なるべく早い段階で治療を始めることが大切です。
遅くなるとウイルスが皮膚や神経に与えるダメージが大きくなります。
また、ダメージが大きくなることで「帯状疱疹後神経痛」といって長期間にわたって痛みが消えないこともあります。
まずはこの帯状疱疹後神経痛にならないようにすることが大事です。
帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹の皮膚の症状が消えた後に、その部分の神経に起こる慢性的な痛みのことです。
湿疹などの皮膚症状が悪化したり、痛みが強い方ほど神経痛が残りやすいとされています。
この痛みは、絶え間なく続く場合もあれば間が空くこともあり、夜間に悪化する場合や、寒暖の差でひどくなることもあります。
ひどくなると、痛みで他のことが手につかなくなる事さえあるので、できるだけ早く治療して、痛みが記憶として残らないようにすることが大切です。
からだの片側に急な原因不明の痛みを感じたり、同じ場所に赤い湿疹が出た時は、痛みを我慢せず、できるだけ早く対応することが大事です。
(湿疹が出る前に片側に上記のようなチリチリ感が出たとき、疑わしいものは施術したほうが後々良いです。)
※ もし疑わしい湿疹が出た時は、冷やすと痛みが強くなるので冷やさないようにしてください。
治療
基本、内科か皮膚科を受診することになります。
症状の出方に個人差がありますので、最近では鑑別のため「水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キット」ができウイルス抗体があるか簡便に検査できるようになりました。
治療の基本は「抗ウイルス薬」です。また痛みがきついときは鎮痛薬も使われることがあります。
たいてい一ヶ月程度で治癒すると言われています。
当治療室での治療法
当治療室では、自律神経の副交感神経が異常興奮したことにより発症すると考えます。
皮膚と神経の痛みが混在していますので、神経の痛みにはH5F5の井穴刺絡を行います。
そのことにより、副交感神経の異常興奮が抑えら痛みが軽減されます。
刺絡を行うたびに痛みの変化を見ながら施術することができます。
また痛みや痒さがある局所に刺絡を行うこともあります。
皮膚の状態によっても違いますが、ジュクジュクしている場合はラップなどをしてキズを乾かさないようにします。
その事によって皮膚のキズの痛みは軽減されます。
とにかく湿疹が出ていない時でも、”疑わしきは罰”するくらいの気持ちで、早めの対応がとても大事になります。
帯状疱疹後神経痛にも鍼灸は有効なことは多いのですが、改善のみられない方もいます。
ですので帯状疱疹後神経痛にならないよう早め早めの対応をしてください。
※ 当治療室には帯状疱疹の施術動画はありませんので、井穴刺絡の師匠、稲舛先生の施術動画をご覧ください。
いくつかリンクを貼っておきます。
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