眼精疲労
「夕方になると眼がかすんでものが見えにくくなる」
「眼の奥が痛い」
「パソコンを使っていると肩こりや頭痛がひどくなる」
「目が乾く」
このような症状を思い当たる方は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?これらは眼精疲労の典型的な症状です。
「眼精疲労」という言葉はよく耳にしたり使ったりしますが、正確に把握されている方は本当に少ないと感じます。
私も勉強会で学ぶまでは、よくわかっていませんでした。
現在はITが発達し、PCやスマホなど仕事や生活に無くてはならないものになりました。そのために目の負担が激増し、急激に「眼精疲労」による体調不良が増えているように感じます。
眼精疲労とは
「眼に特別な疾患はないが、眼を過度に酷使することによって疲労感や眼の痛み、頭痛や肩こりなど、眼や体にさまざまな症状をきたす状態」というように定義付けされています。
要するに、眼が原因となって全身に影響を及ぼし、思いもかけないいろいろな症状がでてくるということです。
それだけ眼は重要だということです。
決して「眼精疲労=眼の疲れ」ではありません。
眼の疲れは、休憩や睡眠を取るなど眼を休めることで回復する一時的なものです。
眼精疲労は、一時的なものではなく「眼が原因の断続的・継続的なさまざまな不調」のことです。
眼精疲労の症状
眼精疲労には「眼に現れる症状」と「体に現れる症状」があります。ご自分にあてはまるかチェックしてみてください。
眼に現れる症状
- 眼の奥が痛む
- 目が充血する、あるいは腫れる
- 目がかゆい
- 目がかすむ(特に夕方)
- 目が乾く
- まぶたがピクピク動く
- いつもならまぶしいと感じていなかった光を、まぶしいと感じる
体に現れる症状
- 頭痛、頭が重い
- 肩こり
- 食欲不振
- 胃炎・胃の痛み
- 吐き気・嘔吐
- 全身がだるい
- 思考力が低下
- 集中力が続かない
- よく眠れない
- 高血圧
眼精疲労の原因
眼の疾患
●近視・乱視・老眼
近視、乱視、老眼が進行すると、ピントを合わせるために眼球の内部で水晶体の厚さを調節する筋肉の緊張が続きます。
特に40代半ば過ぎから急速に進む老眼が、眼精疲労の大きな原因となっている場合が多いのも特徴的です。
さらに、めがねやコンタクトレンズの度数が合っていない、キズがある、フレームが歪んでいる、レンズが歪んでいるなどのために眼精疲労が起きることも多々あります。
●ドライアイ
パソコンなどで目を酷使する方がなりやすい、眼球の表面が乾燥する病気です。目を保護する役割のある涙の減少や、涙の質が低下することにより、目の表面に傷ができてしまいます。そのため、目の疲れや乾燥以外にも痛みや不快感、まぶしさを感じることがあります。
他にも緑内障や白内障、斜視、斜位、眼瞼下垂など、さまざまな目の疾患が眼精疲労の原因になります。
●生活環境
パソコンやスマートフォンの普及により、仕事でも私生活でも長時間にわたって目を酷使する機会が増えています。特にスマートフォンの影響は大きいと思われます。「手元の文字が見づらい」「近くのものにピントが合わず、視界がぼやける」など老眼と同じような症状が20~30代の方でも起こる「スマホ老眼」なるものが増えています。
●精神的ストレス(自律神経の乱れ)
ストレスが高くなると不安感やイライラ、不眠などの精神的な影響だけでなく、高血圧や血行不良をはじめとした自律神経の乱れによる症状も引き起こします。眼精疲労もその症状のひとつです。
複数の原因が重なって眼精疲労に
このように眼精疲労にはいくつか原因がありますが、このうちの1つだけが原因の場合は、眼疲労は起きても眼精疲労まで起こすことは少ないでしょう。いくつかの原因が重なることで目の負担が増え、眼精疲労になるのです。
ですから眼精疲労を治すには原因のひとつひとつを探り当てて、それぞれについて治療や生活習慣を改善するなどの対応をしていく必要があります。
眼精疲労が起きやすい条件
- 左右の視力、見え方に差がある
- 眼鏡のレンズが買った時からすでにあわない
- 度が進んでいるのに、合わない古い眼鏡を使っている
- レンズの汚れやレンズにキズが付いている
- 眼鏡の歪み、壊れている、調整不良
- 遠近両用メガネ
- 眼鏡がずり落ちる
- コンピューターやテレビ、スマホなどを見すぎている
- 肝臓の弱り
治療法
眼精疲労の改善に目の周囲のツボが紹介されているのをよく見かけます。それほどツボが効果的だということの現れだと思います。
当治療室では、まず見え方に左右差がないか、片目ずつ視力表を見てもらい左右差の確認を行います。特に40歳以降の方は、遠くも近く見てもらい確認を行います。視力だけでなく、左右で見ている物の位置がずれたりしないかも確認します。次に部屋の明るさや、色、くっきり感などを確認します。その上で眼の周囲のツボの圧痛を確認し、そこに円皮鍼やハペパッチを貼ります。貼ったことで見え方に変化があるかを確認し、効果的なツボのみ使用します。その上でその他の症状の変化があるかも確認します。これだけで肩こりが楽になったり眼が楽になることはよくあることです。
さらに東洋医学では眼と肝臓は関係が深いので、肝臓や胆のうに関するツボ「F2」「F5」「F6」などの井穴を刺絡します。頭部にも眼と関係が深い「目窓」「玉枕」「百会」やこめかみの圧痛部にも頭部刺絡を行います。
全てを行うこともありますが、適宜必要に応じてツボを使います。
なかなか治療する時間もなく、自分で目薬をさしたり、目を温めたり、サプリメントでなんとかしのいでいるという方も多いと思います。また肩こりが酷くマッサージをしても改善がない、頭痛がなかなか取れないという方は、一度眼精疲労も疑ってみてください。眼精疲労に対して鍼灸は、即効的に変化が現れる治療法です。ぜひお試し頂ければと思います。